まず、日本語にほんごのあいさつ…
こんにちは あるいは こんばんは、皆さん!
#6の続き、「あいさつと便利な表現」の後半です。
日本語のあいさつと、すぐに使える便利な表現”サバイバル日本語”をさらに覚
えていきましょう!
初めて会ったときのあいさつ
丁寧 : はじめまして
便利なあいさつ
丁寧 : どうも
<説明>
① ユーリ「やあ はじめまして!弟のユーリです!」
② フランキー「ああ どうも 奥さん はじめまして!ロイドの友人 フランキーです!」
③ ヨル「どうも」
初めて会った人へのあいさつは「はじめまして」です。自分の名前や、自分がどういう立場の人間かという自己紹介とともに使われることが多いです。①でユーリは自分がヨルの弟であることと名前、②でフランキーも、自分がロイドの友人であることと名前と一緒にこのあいさつを使っています。
一方、③でヨルはフランキーに「どうも」とだけ言っています。フランキーがヨルを「奥さん」と呼んでいるので、自分がどういう立場かを相手はすでに知っていることがわかります。自己紹介の必要はないですね。
この「どうも」というのは、とても便利な言葉です。フランキーも「ああ どうも」と最初に軽く使っていますね。実はこの「どうも」は
- ありがとう
- こんにちは
- はじめまして
など、いろいろなあいさつの代わりに使えます。ただ、丁寧語ではありますが、「どうも」だけだと、少しカジュアルで、シャイな印象を与える可能性があるので、フォーマルな場所では、フランキーのようにさらに続けて言葉を付け加えたほうが良いでしょう。
これからお世話になる・長い時間一緒に過ごす予定のある相手へのあいさつ
カジュアル:よろしく
丁寧 : よろしくお願いします
家に訪ねてきた客や、店で店員が客を迎える時のあいさつ
カジュアル:いらっしゃい
丁寧 : いらっしゃいませ
<説明>
① ベッキー 「よろしくね!」
② ヨル 「よろしくお願いします アーニャさん」
③ アーニャ 「アーニャんちへ いらっさいませ!」
この言葉は、日本語独特の表現で、英語などでこれがぴったり!という訳文がありません。上に挙げた『SPYxFAMILY(スパイファミリー)』のコマのような場面がまさにこの言葉が使われる最適の例です!
①は、ベッキーとアーニャが初めて会った場面です。同じクラスに振り分けられたので、これから少なくとも一年間は同じ教室で一緒に勉強するクラスメイトになります。ベッキーはアーニャに「これから長い時間一緒に過ごすことになるから、仲良くしてね」という意味で「よろしくね」とあいさつしています。
「よろしく」の後ろの「~ね」は、言葉や文の最後に付けることで、親しみを込めたり、相手に共感を求めたりする気持ちを付け加える、とてもよく使う表現です。やさしい印象の表現になります。
②では、ヨルがアーニャとロイドの暮らす家に、一緒に住むためにやって来た場面です。「これから毎日家族として一緒に過ごさせていただきます。お世話になります。」という気持ちであいさつしています。
年単位ほど長い時間でなくとも、例えば、旅行先で日帰りツアーで数時間から一日程度案内してもらうことになったガイドさんと、最初にお互いに「よろしくお願いします」とあいさつすることもあります。
とても日本語らしい表現です。
③ のアーニャのセリフの「(人)んち」という表現は「(人)のうち」の音がとてもカジュアルに崩れた形でほとんどスラングです。「うち」は「家」のカジュアルな言い方です。どれも実際によく使われます。
ロイドとヨル「いらっしゃい!」
「いらっしゃいませ」は、あなたが日本に来た際にはどこの店でも聞くことになる言葉です。”Hello”よりは”Welcome”に近い表現です。
③の「いらっさいませ」はアーニャ語で、うまく発音できていません。上のコマでロイドとヨルが言っている「いらっしゃい」の音が正しいです。丁寧に言うと「いらしゃいませ」になります。
別れる時のあいさつ
カジュアル:じゃあ/じゃーね/それじゃ
丁寧 : さようなら/では 失礼します
再び会う可能性がある相手と別れる時のあいさつ
カジュアル:じゃあ また/また明日
<説明>
①看護師 「じゃーねー アーニャちゃん♡」
②ベッキー 「じゃーねー アーニャちゃん また明日!」
③ユーリ「じゃあまた」
日本語で有名な別れるときのあいさつは「さようなら」ですが、現在では日常会話ではあまり使われません。その証拠に、現在までに発売されている『SPYxFAMILY(スパイファミリー)』の11巻までで、「さようなら」は一度も使われていません。今後しばらく会う予定がないという意味が感じられますし、かなりフォーマルな表現です。
最近は、「では」という”区切りをつけて物事を始めたり終えたりすることを示す言葉”や、「では」の音がカジュアルに変化した「じゃ」「じゃあ」を別れる時のあいさつとして使うことが多いです。
①と②の「じゃーねー」は「じゃ」をもっとフレンドリーにする「~ね」をつけた表現です。
③の「じゃあまた」は、「じゃあ」に”again”の意味の「また」をつけた表現です。「また」という言葉の意味は”again”だけですが、別れのあいさつに使うときは「また近いうちに会いましょう-”See you again”」という意味が含まれています。
②のベッキーが最後に言っている「また明日!」は、「また明日会いましょう」の「会いましょう」を省略した形で慣用句になりました。
「~ね」を「また」の方に付けて、「じゃあ またね」、「明日」の後に付けて「また明日ね」ということもよくあります。
④ロイド「それじゃ 失礼します」
⑤ロイド「そうか よかったな それじゃ」
④と⑤の「それじゃ」という表現は、どちらかというとカジュアルです。フォーマルな場面では「では」か「それでは」にした方が丁寧です。
さらに、「礼儀を失してしまいますが、あなたの目の前から立ち去ります」という古い別れの表現が短くなった「失礼します」という丁寧な言葉も、会社やフォーマルな場での大人同士の会話で良く使われます。
最後に、しぐさについてです。
④のロイドは相手がドノバン・デズモンドというダミアンの父親の政治家でオペレーション<梟>のターゲットですから、丁寧に別れのあいさつをし、相手を見ながら少し頭を下げて「おじぎ」しています。
⑤では、相手が気のおけないフランキーですので、軽く手を振っています。あ、ロイドはフランキーをみないで手を振っていますが、皆さんはちゃんと相手に顔を向けて手を振ってくださいね。ロイドは忙しいのに個人的な頼み事で呼び出されたことがわかったので、フランキーに呆れてつれない態度をとってみせているだけです。①②③どのコマでも、それぞれ看護師・ベッキー・ユーリが手を振っていますね。カジュアルな別れのしぐさで、非常に一般的です。
お店で物を買う・飲食店で注文するとき
丁寧 : ~ください/~を ください/~と~を ください
<説明>
①アーニャ「これ ください」
②ジョージ 「それ ください」
③ロイド 「コーヒーとジュースをください」
海外ならばコンビニなどでも客と店員が”Hi”程度の挨拶をかわすのは普通ですが、日本では、客はあまりしゃべらず、店員が一方的に「いらっしゃいませ」「買い物袋はご入用ですか」「○○円です」「ありがとうございました」としゃべるのが普通です。お互いに特に無礼だとも思っていない習慣ですので、あまり気にしないで、お好きにしてくださいね。もちろん、あいさつする客もたまにはいます。
飲食店でも、入り口の自動販売機で食券を買って出すだけだったり、テーブルにあるタブレットで注文するだけ、会話なし、という店も増えました。
でも、昔ながらの店や、紙のメニューを見ながらウエイターやウエイトレスに注文するタイプの飲食店もまだまだ多いです。そんな店に入った時は、この表現を思い出してみてください。
「~ください」は、”Give me ~,please”または”I’ll take ~, please”の直訳と言える表現です。
「これ 」は指示語で”this”, あなたの手元や、すぐ近くで指さしたり手に取ったりできる位置にあるものを示すときに使います。上のコマでも、アーニャがまさに店の人に①「これください」とポスターを手に持って渡していますね。
「それ」は”it/that”で、手に取れるほどあなたの近くにないけれど、指さしてどれかわかる程度の距離にあるもの、あるいは話している相手の近くにあるものに使います。上のコマでも、ジョージが前をまっすぐ向いて、同じ方向を指さしながら②「それください」と言っています。ジョージの目の前に話している相手がいて、その近くに欲しいもの「それ」があるからです。
あなたが欲しいものが”何”かを言える場合は、「~を ください」と、「を」を欲しいもののあとにつけて、それに「ください」をつけます。ジュースが欲しい場合は:
「ジュースをください」です。
欲しいものが2つ以上の場合は、物と物を「と」でつなぎます。コーヒーとジュースが欲しい場合は:
「コーヒーとジュースをください」です。
お茶とコーヒーとジュースが欲しい場合は:
「お茶とコーヒーとジュースをください」です。
食事・ごちそうを食べる始める時のあいさつ
丁寧 : いただきます
食べ終わったときのあいさつ
丁寧 : ごちそうさま
<説明>
ユーリ「いただきます!」
ベッキー「いただきまーす!」
これも、日本語らしいとしてよく取り上げられる言葉です。日本の子供は、食事の前に手を合わせて「いただきます」、食べ終わった後にも手を合わせて「ごちそうさま」と言うように教えられます。
「いただきます」は食事をすることを自分の立場を下げて表現する「食事をいただく」から来ていますが、転じて食事そのものや自然の恵みである作物、料理にかかわる人々に対する感謝の言葉です。
朝昼晩の三食でなくとも、普段食べられないようなごちそうやお菓子、自分の好物などを口にするときなども、これが食べられてありがたい!嬉しい!という気持ちから、周りに誰もいなくても、この言葉をつい発してしまう日本人もいます。
とても美しくて興味深い習慣ですよね!
問題ないかどうかを尋ねる
カジュアル:大丈夫?
丁寧 : 大丈夫ですか?
問題ないと伝える
丁寧 : 大丈夫です
<説明>
①ロイド「大丈夫?ほら水」
②ヨル「大丈夫ですか アーニャさん⁉」
③ユーリ「いえ 大丈夫です ありがとうございます」
「大丈夫」という表現は、自分で使わなくとも、日本人が言っているのを聞く機会がかなりあると思います。ちょっと大雑把に言うと、何かまたは誰かが問題ないか聞きたい場合はとりあえず「大丈夫?」です。日本語の会話では、質問文は最後の音を少し上げて発音します。この場合は「ぶ」の音を上げます。
問題ない、と答える場合は「大丈夫!」です。今度は「ぶ」の音は上げません。
簡単ですね!
丁寧体にしたかったら、問題ないか聞きたい場合は:
「大丈夫ですか?」(「か」の音を上げます。)
問題ない、と答える場合は:
「大丈夫です」
文法は別の記事で説明しますので、今回はこの便利な表現をこのまま覚えてしまいましょう!
#6と#7で紹介したあいさつや表現は、あなたが日本に数日いて、耳が慣れてきたころに周りの会話に耳をすませたら、きっと驚くほどよく使われているのがわかると思います。話すのはハードルが高い…という方も、聞き取れるだけでも嬉しいものです。あなたのペースで、覚えてみてくださいね。